自然放射線と人工放射線の違い

政府や保安院、学者専門家、マスメディアはよく「この放射線量は、すでに私達が自然界から受けている放射線量と変わらないとかそれより少ない」と我々に言います。たいした線量でないと言います。
本当にそれを信じていいのだろうか?
こんな考え方もあります。市川定夫著「環境学」(232頁~235頁)からの抜粋です。

「人工放射線も自然放射線も、生物や人体にたいする影響は同じである」
との前提は間違いである。
 人工放射性核種には、生体内で著しく濃縮されるものが多く、それゆえに
大きな体内被曝をもたらすという、自然放射性核種には見られない特質が
ある。 それはなぜかというと、生物の進化と適応の過程と密接な関係が
ある。

この地球上には、生物が現れる以前から、自然放射性核種が存在していた。
その代表的なものが カリウム40である。
私たちは宇宙線、地殻中からのもの、食物などを通して体内に入ったもの、
合わせると年間850マイクロシーベルト前後の自然放射線の被曝を受けて
いる。
自然放射線のうち、体内被曝と、地殻からの対外被曝の大部分はカリウム
40である。これは、生物にとって重要な元素であるから、否応なしに体内に
入ってくる。しかし、カリウムの代謝は早く、どんな生物もカリウム濃度をほぼ
一定に保つ機能を持っているため、カリウム40が体内に蓄積することはない。
生物が、その進化の過程で獲得してきた適応の結果なのである。
次に多いのはラドンであるが、希ガスであるため、体内に取り込まれたり濃縮
されることはなく、すぐ体内から出ていく。
 
これらの自然放性物質と異なり、著しい生体濃縮を示す人工放射性物質は、いず
れも自然界には存在しないものである。
例えば、ヨウ素がそうである。天然のヨウ素は、その100%が非放射性であり、
生物は、この非放射性のヨウ素に適応して、哺乳動物なら、それを甲状腺に
選択的に集めて、成長ホルモンをつくるのに活用する性質を獲得している。
また、ヨウ素は、海に豊富に存在するが、陸上には乏しいため、進化の途上
で陸上に生息するようになった植物は、ヨウ素を効率よく高濃縮する性質を
獲得してきている。つまり、現在の高等植物がヨウ素を空気中から体内に何
百万倍にも濃縮したり、哺乳動物がヨウ素を甲状腺に集めるのは、いずれも
天然の非放射性ヨウ素に適応した、みごとな能力なのである。

ところが、人類が原子力によって、放射性ヨウ素をつくり出すと、進化の過程
で獲得した、こうした貴重な適応が、たちまち悲しい宿命に一変し、その放射性
ヨウ素をどんどん濃縮して、体内から大きな被曝を受けることになってしまう
のである。
ストロンチウムも同じである。この元素の自然界での存在量はわずかであるが、
この元素と科学的性質が同じカルシウムが大量に存在し、生物にとって重要な
元素の一つとなっている。天然のカルシウムには放射性のものが存在せず、
それゆえ生物は、この元素を積極的に取り込んで、骨、歯、鳥の卵殻、貝殻、
エビやカニの甲羅などをつくっている。つまり、カルシウムをこれら組織に蓄積、
濃縮するのである。このカルシウムと化学的性質が同じストロンチウムも、これら
組織に沈着、濃縮される。したがって、原子力によってスチロンチウム90をつくり
出すと、28年という長い半減期をもつこの人工放射性核種がこれら組織に沈着、
濃縮されることになる。ストロンチウムはベータ線をだして、骨髄などの組織に
集中的な被曝をもたらす。

このように、人工放射性核種は、自然界になかったものであるため、生物をあざ
むき、生物が長大な進化の過程で築きあげたきた貴重な性質が、たちまち悲しい
宿命に一変するのである。そして、このことこそが、原子力の最大の問題である。

抜粋おわり


また原子炉格納容器設計技術者・後藤正志は批判している。
先の11500㌧の放射能汚染水の海への放出は本当に止む終えぬ緊急避難的処置だったのか?と・・・
原子炉からの汚染水漏洩が判明してからこの事態は予想できた事であり、汚染水保管手段はタンカーを用意するなど他に方法はあったはず。絶体海に流さないという気概がない、極めて安易に海への放出を決め実施したきらいがある。
それは、漁業者のみならず国際的批判が当然起こることだと指摘する。

私達は無責任に、なし崩し的に、強引に放射能汚染、被曝の危険を受け入れさせられている。


この記事へのコメント
はじめまして。Twitterでこちらのブログ記事が紹介されていましたので、お邪魔しました。

基本的な事なのですが、一般的にはまだまだ普及されていない情報です。
拡散の意味も込めて、転載させていただきたいと思います。

よろしくお願します。
Posted by みじゅ at 2011年11月01日 09:47
私のブログ「奥設楽棲息人」は私的なコメントの他、インターネット上で出会った情報、意見など注目した、同意できる内容のものを出来るだけ拡げたいという思いで引用、抜粋掲載しています。
引用元を明記の上、転載自由ですので今後とも宜しく願います。
Posted by 奥設楽 at 2011年11月02日 07:59
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