憲法九条の「戦争の放棄」は、二度と日本は戦争をしないと自らと世界に対し誓ったものであり、その為に国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄したものである。
確かに日本が第二次世界大戦で無条件降伏しGHQに強制されてできた大日本帝国憲法に代わる日本国憲法ではあるが、日本国民の総意により歓迎され同意されてきたものであり、戦後70年以上に渡り平和憲法として維持定着してきたものだ。
それを自力で得たものでないというのなら、安倍自民の改憲案を明確に否定する意思表示を国民は示さねばならなくなるだろう。
『智恵子抄』より、「報告(智恵子に)」
日本はすつかり変りました。
あなたの身ぶるひする程いやがつてゐた
あの傍若無人のがさつな階級が
とにかく存在しないことになりました。
すつかり変つたといつても、
それは他力による変革で
(日本の再教育と人はいひます。)
内からの爆発であなたのやうに、
あんないきいきした新しい世界を
命にかけてしんから望んだ
さういふ自力で得たのでないことが
あなたの前では恥しい。
あなたこそまことの自由を求めました。
求められない鉄の囲かこひの中にゐて、
あなたがあんなに求めたものは、
結局あなたを此世の意識の外に逐おひ、
あなたの頭をこはしました。
あなたの苦しみを今こそ思ふ。
日本の形は変りましたが、
あの苦しみを持たないわれわれの変革を
あなたに報告するのはつらいことです。
昭和二二・六